工事
実際に運用しているホールの改修工事は大変です。
大規模な改修の場合はまず閉館に関わる問題があります。
ホールでは早いところで1年以上先、
遅いところでも半年先位までの予約を受け付けていますので、
早めに閉館期間を決め、利用予約受付を止めなければなりません。
閉館期間の職員の配置も考える必要があります。
一般に官庁工事は入札、発注、議会承認という手続きを踏まなければならないので、
議会承認の時期から閉館期間の見込みを作るのが無難です。
また、備品類を保管するために、
倉庫などの置き場所を確保する必要もあるでしょう。
工事関係では、仮説事務所、資材置き場、工事車両の駐車場、近隣への騒音対策など、
調整しなければならない事項が山積みになります。
ここで工事の発注形式について考察します。
それはゼネコンへの一括発注が良いか、
各工事会社への分離発注が良いかという選択の問題です。
これは一口にどちらの方が良いとは言えません。
それは発注された工事の種類や量にもよるからです。
一般的な傾向として、一括発注の場合はゼネコンに全部の責任を負わせるので、
監理が楽になります。
分離発注にした場合は、各工事会社に行き渡る金額に問題は出にくくなりますが、
改修中にどうしても明確に分離できない工事が発生した場合、
どこが工事をやるのかというような議論になりやすいのです。
ですから、より監理が大変になると考えておきましょう。
しかし、監理会社がしっかりさえしていれば、
一括発注によって工事が雑になる心配よりも、
各工事会社間の調整の大変さを取った方が無難でしょう。
工事発注後は設計事務所を含めた現場代理人同士による打ち合わせを励行し、
問題点、工事のもれがないかどうかを常に確認するようにします。
改修工事でよくあるのは、工事を始めて既存物を撤去解体したときに、
はじめて設計通りにいかないことが判明する場合です。
これはいくら設計時に調査を綿密に行ったところで、
避けられる事ではありません。
新築時の竣工図が間違っている場合もありますし、
工事会社の施工図でさえ信用できないこともあるのです。
設計変更の必要が生じた場合は、すみやかに対応します。
莫大な金額変更が生じない限り、
軽微な変更として費用調整はしないこととすべきでしょう。
もしあまりにも安くなるという工事項目が発生したのなら、
別途追加できる工事内容を考えてもいいでしょう。
通常は予想外の工事費用が発生して、
工事会社の方が吸収せざるを得ない状況の方が多く発生しますが、
監理によって削減できるところは削減し、
バランスを崩さないような処理が求められます。
改修工事は新築工事と違って、
設計当初考えたように現場はいかないものです。