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改修工事における民間活力導入

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〇民間活力導入の内容

公共施設の整備及び維持管理運営において、従来は公設公営が基本だったものを、広く民間の
資金やノウハウを活用することによって、財政負担を軽減しつつ質の高い公共サービスを実現
することが求められています。民間活力を導入する範囲には大きく分けて、施設整備(建設
もしくは改修)と管理運営があり、それぞれを公共もしくは民間が担う形態として以下の様な
組み合わせがあります。

表1 民間活力導入手法の概念

図1

民設民営の代表的な手法としてはPFI(プライベートファイナンスイニシアチブ)があり、平成
11年にPFI法が制定されて以来、様々な公共施設の整備に利用されてきました。また平成15年の
地方自治法改正により、指定管理者制度が導入され、自治体が100%出資した文化振興財団などの
外郭団体や民間企業などが、指定管理者として運営に携わっているケースが増えています。

こういった民間活力の導入は、少子高齢化と財政難の続く中で行政サービスの効率化を行う
ために、地方自治体でまず優先的に検討しなくてはならないものである、という共通認識と
なってきています。

〇民間活力導入の現況

民間活力導入の代表的手法はやはりPFIであり、その事業数は図1のように推移してきました。
PFI法の導入初期は、都道府県や政令指定都市などが中心に採用を推進していましたが、
平成13年度以降は市区町村でも採用が増え、地方自治体でもPFI採用に対する心理的なハードルは
下がってきたと言えます。

PFI事業数及び事業費の推移
図1PFI事業数及び事業費の推移(平成26年6月内閣府資料より)

事業数でみると、平成14年から平成19年までは事業数40前後で推移していたものが、平成19年以降は
減少傾向が続いていました。内閣府では平成27年12月に各省庁や自治体向けに「多様なPPP/PFI手法
導入を優先的に検討するための指針」を通達し、その採用を促しています。

〇民間活力導入における課題と対策

一般的に、PFIの課題は、検討から工事の着手まで時間がかかるということと、事業実施における
手続きが煩雑で事務負担が増加するという事が言われています。しかし、それでもPFIを検討するのは、
従来法に比較してメリットが多いからです。検討期間については、緊急性を要しない工事であれば、
まずきちんと計画すれば可能であり、事務負担についても経験が豊富な外部アドバイザーへの委託に
よって、大分軽減されてきました。

RO(改修工事PFI)における真の課題とは、PFIのメリットそのものが活かせない状況が発生する可能性が
あるということです。

改修工事における民間活力導入の問題点は大きく分けると二つあります。

一つ目は、複数チームの競争原理による費用縮減効果があまり期待できない事です。

二つ目は、要求水準の解釈に差異が生じやすく、発注者側の意図が明確に伝わらない事です。

この二つの課題は密接に関係しており、対策としては要求水準を明確にして、かつ複数チームの参加を
促すという事です。以下にその背景と具体的対策案を記します。

東京オリンピックが開催される2020年頃まで、建設市場では、職人不足による工事費高騰が続く事が
予想され、建設会社は、より利益の出る工事を選択して受注する傾向が出ています。官庁案件のPFIは
手続きが複雑で、建設会社にとっては参入意欲の下がる要因が多く含まれており、更に、改修工事は
新築と違い、着手してみないとわからない潜在的リスクを含んでいるので、元施工会社以外は応募の
検討すらしないという事も考えられます。

複数の事業者による応募があれば、対話において事業者都合の要求に対し、譲歩をする必要はあまり
ありません。しかし、元施工会社を含む1チームしか応募がないという状況では、そのチームに辞退
されるとPFIが成立しないため、譲歩せざるを得ない方向となります。

そのような状況に対し、抑え目の要求水準で、かつ事業者にとって余裕のある事業費とした場合は、
従来法に比べて期待したバリューフォーマネー(VFM)が出ていない、という結果になるものと思われます。
競争原理による費用の縮減を実現するには、まず複数の事業者に応募してもらう必要があります。

次にPFI手法の問題点として、実施設計を行ってから要求水準を作っている訳ではないので、要求水準で
示した改修整備項目の解釈において、発注側と事業者側の間に差異が生じやすいという問題があります。
その問題をなくすためには、改修基本計画もしくはできれば基本設計をきちんと策定し、何をどの程度行うのかという工事内容と
概算根拠をできるだけ明確にする必要があります。

〇当社が行う民間活力導入について

当社で改修工事要求水準を作る場合は、劣化診断調査結果を基に基本計画もしくは基本設計を策定することをお薦めしています。
それによって、あいまいな想定による余分な工事費が積みあがらない様にしていきます。

現在の発注工事は、原則として官庁単価を積み上げていきますが、その積み上げにより作った予定価格
では、従来法の入札でも不調が多くなってきている、という問題が出てきています。
この従来法でも落札しない事業費をベースとして、PFIの交渉をしても、改修工事の場合は応募者なしか、
参加表明が出ても、検討の結果途中辞退になる可能性が高いと思われます。

従来法による入札不調でも、PFI手法による応募者辞退でも、結局は官庁単価が市場の工事費高騰に
追い付いていない事が原因であり、そのための対策が求められています。

工事費は本来需給バランスにより決まっていくものであり、そのために導入可能性調査で事業者に
ヒアリングの際に基本計画の金額を市場の工事費に近づける様にしていきます。

元施工が複数の建設会社によるJVだった場合、筆頭となる大手ゼネコンが中心となり、元設計会社と
有力な維持管理会社、運営会社と組んで出てくることが想定されます。

このチームが形成されて出てくるとなると、他の企業チームなどは出てこないケースが考えられます。
そうなってしまうと、複数チームの競争原理による費用縮減効果が期待できなくなってしまいます。

そのためには、大手だけではなく、中堅クラス、地元の建設企業などにも参入を促すための調査を
すべきと考えられます。

特にホールの大規模改修工事では、建設工事よりも舞台3設備工事費の方が多いため、
この舞台設備工事の工事発注のために建設会社が一括管理するメリットはほとんどないものと思われます。

従って、応募事業者の条件をあまり厳しくせず、参加事業者の幅を広げる様な条件設定を慎重に行います。

参入意向調査の際に、このような市場調査により適正な事業費の算出が可能となり、同時にコンソーシアム
形成の素地作りを行っておくことにより、PFIとなった場合の複数事業者による費用縮減につながることに
なります。

民間活力導入については、PFIを中心として可能性を検討しますが、実施時期としてどうしても改修PFIが
好ましくないという結論が出る場合もありますので、他の様々なスキームも並行して検討します。

そもそも大規模改修の工事費が単年度では賄えないという問題を解決するという目的もあって、財政支出を
平準化できるPFIの導入可能性調査を行うわけですが、工事項目を抑えて分離発注すれば、
従来法でも可能になるかどうかという選択肢も検討しておく必要があると思われます。

TEL 03-5695-9303 9:00~17:30(月曜~金曜)

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