全体を統括し、4つの設計をまとめる際のポイント
ホール空間を設計するポイントとして、
建築音響設計 ・舞台音響設備設計 ・舞台照明設備設計 ・舞台機構設備設計
の4つの要素について、それぞれのページでご説明しました。
総合的なポイントとしては、
以上4つの要素の関連性をおさえて設計を進める
ということが重要になります。
一般的には、
建築音響設計・舞台音響設備設計・舞台照明設備設計・舞台機構設備設計は、
それぞれ別の会社の担当者が設計し、
相互のコミュニケーションがあまり密でない場合が多いと思われます。
すると、本来なら密接な関連性のあるものの調整がうまくいかない、
それぞれの担当者がそれぞれの主旨で設計を進めてしまい、
後から修正の必要が出てしまう、等ということが起きてしまいます。
例えば、
・吊物と照明の調整がうまくとれない
・照明はこうしたいが、そうすると音響にとっては好ましくない状況になる
・ホール空間の形が決まらないうちにスピーカを設置する場所が決まってしまい、
後から「その場所には設置できないので修正を」ということが発生する
このような、時間と労力と費用の無駄を出さないため、
また全体を見ながらその空間にとって一番良い設計とするためには、
全体を統括する人間がそれぞれの担当者と打ち合わせを密に持つか、
全体のコンセプトを作って各担当者に渡し、
それに沿ってまとめていくことが必要となります。
また、そのホールを使う人がどのような運用をするのかを想定することも重要です。
ホールの場合の利用者は、観客・出演者・主催者・
管理者・舞台スタッフと多岐に渡ります。
それぞれの立場でホールに望むことは異なっているため、
それをすべて満たすのは不可能です。
また、すべての要望を取り入れようとすると収拾がつきません。
統括者が予算や状況から優先事項・必要性を的確に判断し、調整することが不可欠です。
ホール空間、舞台設備の新築や改修を行う場合は、ぜひとも以上のことに留意したうえで、
使いやすく、利用者に喜んでもらえるホールになるよう進めて頂ければと思います。