舞台音響設備設計のポイント
ここでは舞台3設備のひとつである、舞台音響設備設計のポイントについて解説しています。
スピーカの位置と機種選定
スピーカを決める際、どのような配置で、どのような向きで、
どのような指向性の機種を選ぶかがポイントになります。
一般的には客席と舞台が額縁で区切られている「プロセニアム型」のホールが多く、
その場合プロセニアムの周辺にスピーカを配置することが多いと思います。
大きいホールの場合、スピーカをプロセニアム周辺に置く集中型と、
バルコニー下等に入れる分散型の併用にすることがありますが、
こうすると両方のスピーカから来る音のずれを調整する必要があったり、
そのためのシステムが複雑になったりします。
最近は性能の良いスピーカが出ていますので、配置や向きを検討し、
指向性を考慮した機種選定を行うことによって、集中型のみでも対応することが可能です。
音響調整卓(ミキサー)の選定
音響調整卓を選ぶ際に大切なのは、
「どのような人がそれを操作するのか」ということです。
例えば公共の文化ホールであれば専任の舞台スタッフが操作しますが、
学校の講堂ホールでは専門家ではない先生や生徒さんが操作することになります。
公共ホールではプロの興行に対応できる高機能の調整卓が必要とされますが、
そのような機種は操作が複雑なため、専任スタッフのいない学校のホールには
向いていません。
学校のホールでは、操作がわかりやすく使いやすいもの、
なおかつ文化祭等で凝った演出をしたい場合には
それなりのことができる機能も兼ね備えたものが必要とされます。
しかし既製品はプロ仕様のものが多く、
なかなかそのような機種がないのが現実です。
そのような場合には、使う側の用途等を考慮し、
操作のわかりやすさと必要な機能を満たせる調整卓を
特注で製作することもできます。
公共ホールで使うような既製品の調整卓では、
価格にかなりの幅がありますが、その違いは音の良し悪しだけでなく、
安定性等の違いもあります。