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客席椅子

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客席椅子

客席椅子の更新は、改修全体費用に与える影響が大きいです。

とにかく数がありますので、
例えば2000席のホールで椅子を更新すると、
単価10万円として全体で約2億円かかってしまうのです。

だからといってホールの場合は、
半数だけ取り替えようという話にはならない訳です。

利用頻度が低いホールでも20年が限界でしょう。

10年程度で張地の破れが目立ってきたという程度では、
一部の補修で済ませる場合もあります。

椅子の更新で気をつけなければいけないのは、
残響時間に与える影響です。

人が座ってしまえばそれほど違いはありませんが、
空席のときの吸音力は、背や座のクッション、張り地などによって差が出ます。

ですから、古い椅子のときに背まで全部生地で覆っていたタイプの椅子を、
更新で木地が多く見えているタイプのものにすると、
空席時の残響時間が改修前より伸びやすいのです。

意図的に残響をのばす場合は別として、
こういった変化をできるだけ防ぐためには、
改修前と全く同じタイプの椅子を採用するか、
もしくはちゃんと残響室で吸音力を測って調整するしかありません。

しかし、椅子の残響室法吸音力の測定は誤差が大きく、
更新前の椅子と新しい椅子の両方を調べなければならないので、
時間と費用がかかります。

それはあまり実践的ではないということで、
結局勘を働かせて新しい椅子の音響的なデザインをするのです。

時間的に費用的に余裕があれば、
何台かの試作品を作って、古い椅子と並べ、
触ったりして音響的な違いを推定するという方法を取ります。

大きな影響がある割には、
意外と原始的な方法をとっているのです。

こういった作業は、測定器だけに頼っていてはできない、
経験によるものなのです。

音響的な話とは別に、
昔は椅子の幅が狭かったので、
更新を期に幅を広くしたいという要望もよく出ます。

収容人員が減ることを許していただけるならば、
確かに客席の幅には余裕があった方が快適です。

今では最低52cmは欲しいところです。

前後方向の幅については、
客席が段床になっていると広げるのは難しいでしょう。

少しでも足元を広げる方法としては、
背が薄いタイプの椅子を採用する方法があります。

また仮設の調整卓がよく持ち込まれる部分を背倒れ式にしたり、
車いす用のスペースを自由に確保できるように、
移動式のものを増やしたりすることも、
椅子更新の際に考えた方が良いでしょう。

TEL 03-5695-9303 9:00~17:30(月曜~金曜)

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