舞台機構設備
舞台機構設備ほど各ホールによって事情が異なる設備はありません。
例えば小さな市民会館クラスで奈落がないホールでは迫りは存在しませんが、
オペラもできるように考えた県民会館クラスでは、
大迫り、小迫り、スライディングステージ、廻り舞台などが設けられています。
吊り物も、プロセニアムスタイルの劇場では、音響反射板を含め、
多くのバトン類でフライタワーがひしめいていますが、
オープンスタイルのコンサート専用ホールでは、
2、3本の照明用バトンのみの場合もあります。
また舞台機構に使われている構成機器も、
経年変化に大きな違いがあります。
最も短いもので吊り物のワイヤーがあります。
また幕類も比較的短い方でしょう。
だいたい10年経ったら交換しなければならないそういった部品要素から、
中には滑車や電動機の様に20年は堅い機器部品もあります。
機構の制御板は電子部品が多いので、
リレーなどは15年も経つと交換の必要が出てきます。
このように部品によって経年変化の状況が大きく違うので、
時期によって何を更新すべきか、既存のままにするか、
また将来を見越して早めに交換してしまった方がいいのか等の判断が難しいところです。
年に一度しか使わないことが定常化している小迫りなどがあったら、
保守にかかる費用を考えていっそのこと撤去し、
固定の舞台を張ってしまった方がいいかもしれません。
このように、舞台関連設備としては音響や照明と違い、
改修工事の概算を出すにしても、かなり細かい現状調査が必要なのが、
舞台機構設備なのです。