舞台映像設備
一昔前は、ホールの舞台設備といえば、音響・照明・機構の3つでしたが、
近年は舞台映像設備という概念ができつつあります。
その要因は、適正な価格で高輝度なプロジェクターが開発されたことと、
パソコンの普及により、講演会などで、
パワーポイントなどの画像ディスプレイソフトを使う人が増えたためでしょう。
今までは映像設備を常設していなくても、
主催者側に持ち込んでもらうことで済ましていたことが多いのですが、
これからは常設していてあたりまえという時代が既に来つつあります。
改修の際にはプロジェクターを常設し、
講演会のニーズに応えることが望まれます。
しかし、制約のある改修予算の中でやるべきことが多いと、
映像設備は見送りという形になってしまう傾向があります。
たいていはメーカーから取り寄せたシステム提案書に基づき、
概算金額○千万円(ときには1億を超える)などという見積もりがあだとなって、
贅沢だから止めようという結論になりやすいのです。
しかし、パワーポイントを大画面で写すだけなら、
そんな大げさなシステムは要りません。
メーカーはプロジェクターだけではなく、
録画再生機器にもおおげさなものを提案しがちです。
しかし、ホールに常設すべきものはパソコンをつなげるインターフェース程度です。
DVDやVHSなどの再生が必要になれば、
その都度再生機器を仮設でつなげば十分でしょう。
映像機器のためだけに大きなラックは必要ありません。
スクリーンは映写用のものが既設であれば、
無孔で反射率の高いものに変えた方が良いでしょう。
予算が足りなければそのままでも結構です。
奥行きの浅いホールならば、ホリゾント幕に写せば良いのです。
そのくらいおおざっぱでも、今のプロジェクターは十分明るいので写ります。
あとは設置場所の問題ですが、
客席後方中央付近に窓のある部屋(映写室、調整室、中継室等)がある場合は、
工夫してそこに設置するようにしましょう。
映写室にまだ35mmの映写機が2台鎮座している場合は、
利用実態と照らし合わせて、継続するか撤去するかを決めましょう。
システムの贅肉をそぎ落としてみれば、
意外と安く導入できるのが舞台映像設備なのです。